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パーパス:企業のサステナビリティ戦略の原動力

2024年 7月 09日

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(当ブログは、2024 年 7月 8日にモロー・ソダリが発表した英文ブログの日本語訳です。)

サステナビリティの企業戦略への統合は、今ではもはや、「望ましい」から「必須」の条件に移行しています。私はサステナビリティ・コンサルタントとして、明確で真正なパーパスが、サステナビリティに関する企業の道程を変革する力を持つことを、目の当たりにしてきました。私は幸運にも日本で仕事をすることができましたが、日本では既に、多くの企業がかなりの程度、パーパス主導型です。パーパスとは単なる意思表示ではなく、企業サステナビリティを動かす原動力であり、企業を有意義で永続的な変化へと駆り立てるものなのです。パーパスが無ければ、サステナビリティへの取り組みは適切な推進力を欠くことになります。

パーパスとは、企業のサステナビリティへの取り組みのみならず、企業全体の存在意義に方向性と意味を与える基礎的要素です。パーパスは、企業の利益動機を超越し、事業運営を社会的・環境的目標と一致させるものなのです。ハーバード・ビジネス・スクールのレベッカ・ヘンダーソン教授とジョージ・セラフェイム教授は、パーパス主導型の企業は財務的な業績が良いだけでなく、社会のウェルビーイングにも大きく貢献している、と主張しています。彼らの研究によれば、パーパスが調和する力として機能すると、サステナビリティが組織構造の中に深く統合され、その戦略が表面的で短命に終わらないことが保証されるのです。

すこし単純な議論に聞こえたかもしれません。しかし今の株主、消費者、従業員がかつてないほど情報通で目が肥えていることを考えれば、これは戦略上不可欠なことなのです。株主、顧客、従業員の多くは、グリーンウォッシュ(製品や企業の環境面での利点について誤解を招くような主張をすること)を見分ける鋭い勘を養っています。ある企業について、たとえ何がおかしいのか具体的に言うことはできなくても、何かを感じ取ることはできます。このような意識は、企業に真正性と透明性を求めます。サステナビリティへの取り組みに真のパーパスを組み込めない企業は、信頼を失うだけでなく、このような主要なステークホルダーからの反発に直面するリスクも抱えているのです。

SNSやデジタル・プラットフォームの台頭により、消費者や従業員は企業に説明責任を求める力を持つようになりました。彼らはグリーンウォッシュと認識する事例を瞬く間に世間に拡散し、ブランドの評判や顧客ロイヤルティに影響を与える可能性があります。従って真のパーパスが必要不可欠なのは、サステナビリティ戦略成功のためだけでなく、このような重要な人たちとの信頼関係を維持し、エンゲージメントを高めるためでもあります。端的に言えば、情報開示において透明性とパーパスが欠如していると、グリーンウォッシュの疑惑を招くリスクがあるのです。

さて、パーパスがこれほど重要であるならば、これをどのように運用すればよいのでしょうか。一つの考え方は、パーパスがサステナビリティ戦略の様々な要素を調和させる力として機能する、ということです。パーパスによって企業は、サステナビリティを孤立した取り組みとして扱うのではなく、中核的な業務に統合することができます。この統合は、サステナビリティ委員会や専任部署の設置、そして組織内の各部署にサステナビリティ推進担当者を任命することによって促進されます。このような仕組みにより、サステナビリティへの配慮があらゆるレベルの意思決定プロセスに組み込まれることになります。

例えば、サステナビリティ目標の達成、および組織全体の説明責任遂行のために、サステナビリティ委員会がガバナンスと監督を行います。サステナビリティ目標を担当する専任部署が具体的な取り組みの実施に専任する一方、サステナビリティ推進担当者が、それぞれの部署で取り組みを唱道し、推進します。このような多面的なアプローチにより、サステナビリティ戦略が机上の空論にとどまらず、組織全体で積極的に実践されるようになります。この仕組みにより、パーパスを巡る企業メッセージが強化されるのです。

ハーバードのヘンダーソン教授とセラフェイム教授は、パーパス主導型企業がサステナビリティへの取り組みで優れた成果を上げている事例を数多く記録しています。その一例がユニリーバで、同社はパーパスを事業戦略の中心に据えています。ユニリーバのサステナブル・リビング・プランは、プラスの社会的インパクトを高めつつ、環境負荷と成長を切り離すことを目的としています。同社の明確なパーパスは、野心的なサステナビリティ目標に向けた大きな前進を促し、消費者と従業員の双方に共感を与えています。

別の説得力のあるケースがパタゴニアで、同社はパーパス主導型の使命を社風と事業運営に深く組み込んでいます。パタゴニアはその環境保護活動やサステナブルなビジネス慣行へのコミットメントにより、市場での差別化を図っただけでなく、ロイヤルカスタマー層や意欲的な従業員を育んできました。パタゴニアのパーパスは、製品デザインからサプライチェーン管理まで、あらゆる意志決定においてサステナビリティが優先されることを保証する、指針の役割を果たしています。

貴社がパーパスと戦略の整合性に関してどの程度成熟しているか、ということは、以下のステップの取り組み具合を確認することで、チェックできます:

1. パーパスが明確に定義され、それは会社の価値観やステークホルダーの期待と一致しているか。

– パーパスは、社内外のステークホルダーと共鳴し、サステナビリティへの真のコミットメントを反映しているか。

2. サステナビリティ・イニシアティブの開発・実施に、株主その他のステークホルダーをどのように参画させているか。

– 真正性を確保し、信頼性を築くために、従業員、顧客、その他のステークホルダーが積極的に関与し、協議するようにしているか。

3. サステナビリティ委員会や専任部署など、サステナビリティへの取り組みを監督・推進するためのガバナンス体制を整備しているか。

– 組織全体でサステナビリティ・イニシアティブを推進し統合するために、サステナビリティ推進担当者を任命しているか。

4. サステナビリティの進捗状況や課題を、透明性をもって定期的に伝えているか。

– サステナビリティに対する真のコミットメントを示し、その信頼性を高めるような最新情報を提供しているか。

5. サプライチェーンマネジメントから製品開発、マーケティングに至るまで、事業運営のあらゆる側面にサステナビリティを組み込んでいるか。

– サステナビリティへの配慮が意思決定プロセスに組み込まれ、事業戦略の中心的な要素となっているか。

モロー・ソダリでは、サステナビリティの道程のあらゆる局面でお客様をサポートするよう努めています。サステナビリティは戦略立案の重要な要素のひとつですが、お客様企業にとっては、とらえどころがなく、取り組むのが難しく感じられることもあります。私たちは、パーパスを、企業のサステナビリティ戦略を成功に導く原動力であると考えています。パーパスこそが、取り組みを成功させる企業とそうでない企業を分けるのです。パーパスをサステナビリティ戦略の中心に据えることで、企業は環境的・社会的目標を達成できるだけでなく、信頼、ロイヤルティ、そして長期的な成功を築くことができるのです。

企業のサステナビリティにおけるパーパスの役割については、ハーバード・ビジネス・スクールのレベッカ・ヘンダーソン教授(https://www.hbs.edu/faculty/Pages/profile.aspx?facId=12345)とジョージ・セラフェイム教授(https://www.hbs.edu/faculty/Pages/profile.aspx?facId=15705)の研究を参照してください。彼らの研究は、今日の複雑で要求の厳しいビジネス環境における、パーパス主導型の企業の繁栄について、貴重な洞察を与えてくれます。

原文はこちら

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